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文化服装学院 卒業制作ファッションショーレポート!「デジタルファッションプログラム」参加学生の作品がRobloxに登場

文化服装学院 卒業制作ファッションショーレポート!「デジタルファッションプログラム」参加学生の作品がRobloxに登場

2025年2月28日、文化服装学院・工科専門課程の学生たちによる卒業制作ファッションショーが遠藤記念館で開催された。今年は、電通グループとRoblox社が共同で開講した「デジタルファッションプログラム」第一期生の作品も初披露され、注目を集めた。この記事では、ファッションショーの模様をレポートし、後半では参加学生へのインタビューをお届けする。

学生生活の集大成!文化服装学院 卒業制作ファッションショーが開催

文化服装学院 卒業制作ファッションショーの様子

毎年、多くの学生が参加し、自らのデザインを披露する文化服装学院の卒業制作ファッションショー。学生生活の集大成となるこのショーには、関係者だけでなく一般の観客も多く訪れ、次世代のデザイナーたちが生み出したクリエイティブな世界観を間近で体感できる貴重な場となっている。

衣装制作はもちろん、企画や照明演出まで、すべて学生たちが手がけたショーは全5部構成。オープニング後、それぞれのアイデアや個性が詰まった衣装をまとい、入れ替わりで特設ステージに登場していく。ステージに立つ姿からは、作品へのこだわりと熱意が伝わってきた。

「デジタルファッションプログラム」参加学生の作品がRobloxで初お披露目

「デジタルファッションプログラム」作品がRobloxで初披露

さらに今年は、リアルのファッションショーに加え、ロブロックス上で初めてファッションアイテムのデジタル展示が行われた。この新しい企画に挑戦したのは、アパレル技術科3年・バーチャルファッションコースの生徒21名だ。

彼らは2024年10月に文化服装学院、電通グループ、Roblox社の共同プログラム「デジタルファッションプログラム」の第一期生として参加し、本日その修了を迎える。プログラムに参加した学生たちは、Blenderなどの3D制作ツールを駆使し、リアルの衣装をバーチャル空間で忠実に再現してみせた。この取り組みは、Roblox社にとってパーソンズ美術大学のデジタルファッションコースに続く第2弾となり、日本では今回が初となる。

文化服装学院の卒業制作展示ブース

展示ブースでは、自由に視点を変えながらデジタルのファッションアイテムを鑑賞・試着ができる。

文化服装学院の生徒が制作したRobloxアイテム

リアルの衣装を再現するため、色味やシワの表現、動いた際の揺れなど細部までこだわっていた。

学生たちが語る、リアルとバーチャルへの想い

実際に学生たちに話を聞くと、ほとんどが「3D制作」や「ロブロックス」を学校で初めて学んだという。これは意外な発見だった。また「リアルの衣装制作とは違う難しさもありましたが、バーチャルだからこそできる表現を追求しました」と、プログラムに参加した生徒のひとりが語った。彼らはどのような想いでこのプロジェクトに挑んだのか、最後にインタビューに協力してくれた3人の感想を紹介する。

文化服装学院 バーチャルファッションコース|別府 未羽さん

文化服装学院 別府 美羽さん

――本日のファッションショーについて、率直な感想をお聞かせください。

私は、今回6体の衣装を制作して、モデルさんやヘアメイクさんに「○月○日にファッションショーがあるんですけど、それでお願いできませんか」といったやり取りもしながら準備をしました。今までは1体か2体を自分で着たり、友達に頼んだりすることが多かったのですが「6体も作ったことがなかったので、どうしよう」という不安もあり、モデルさんをインスタでめちゃくちゃ探しました。

また1日が長いスケジュールだったので、「喉が渇いたら遠慮なく言ってくださいねっ」と声をかけたりして、モデルさんにも気を配りつつ、自分も出るみたいな感じでした。ちょっとバタバタしちゃったんですけど、最後には思い出がギュギュっと詰まっていて、すごく充実した時間でした。

――衣装制作で特にこだわったポイントはありますか?

卒業制作最後ということだったので、学生最後・子供最後みたいな気持ちで、今までずっと考えてきたことを何か目に見える形にしたいなと思い、衣装の制作をしました。これまでストーリーや感情をメモに書き留めてきたのですが、それを全部友人に見せたところ、絵本にして返してくれたんです。

制作した6体の衣装にも、主人公の感情の移り変わりを表した物語が込められています。そのお洋服を見ただけでも、多分楽しんでいただけるかなと思うんです。いろんな背景もあるので、知れば知るほど好きになってもらえるんじゃないかなっと。

――アイディアやデザインを考えるうえで苦労したことを教えてください。

今回はリメイクを結構混ぜてて、最初にパターン(衣服の型紙)引いてから服を作るんじゃなく、もう立体みたいな感じで制作しました。マネキンに直接布を当てながら「こっちの方がかわいいかな」みたいな感じで、着物を使ったり、おばあちゃんのハンカチを使ったりしました。

逆にパターンや3Dにしなきゃいけないときは苦労しました。今までは仮縫いも3Dでやっていたので、実物を作るのもパパっとできちゃったんですけど、既に完成形としてアップされているものを3Dにしなきゃいけなかったのは、ちょっと難しかったですね。

――ちなみに、リアルの衣装をバーチャル空間で表現するために工夫したことはありますか?

ちょっと卑怯な感じですが、ロブロックスの衣装を少し丸くして形を変えたんです。実際に作ったリアルの衣装には、結構しわ感やギャザーがあるのですが、ギャザーがあるとポリゴンが細かくなりすぎてしまうんです。そこでどうしようか考えたときに、リアルに寄せるのではなく、ゲームの世界でしか成り立たない服にしちゃおうと思い切って変えてみました。

――この経験を通して、今後挑戦してみたいことや目標を教えてください。

私がこの世界に入ったときから、今もなんですけど、あまり綺麗すぎるバーチャルな感じが苦手で。そういうタッチには、なんか温かみがあんまりないなって、寂しいなって思っちゃうんです。なので、リアルの温かい部分と便利なバーチャルの部分とかを掛け合わせて、うまく私なりに使っていけたらいいなと思ってます。

――本日はありがとうございました!

文化服装学院 バーチャルファッションコース|髙橋 里彩さん、馬場 美里さん

文化服装学院 髙橋 里彩さん

文化服装学院 馬場 美里さん

――本日のファッションショーについて、率直な感想をお聞かせください。

馬場さん:私は照明係として参加していました。衣装やデザインも出しています。ファッションショーには、友達3人にモデルを頼みました。最初はポージングとか足りない部分があって、それを照明のブースから全体的に確認して、どんどん改善を重ねて、完璧に仕上げました。

髙橋さん:私はモデルをやっていて、ファッションショーで3体も着てました。裏ではめっちゃ早着替えしてて、ニット科とAD、自身の作品にも着替えて、めっちゃバタバタでした(笑)。着ている衣装によって歩き方やポージングが全然違うので、その特徴に合わせてこだわりました。

――衣装制作で特にこだわったポイントはありますか?

馬場さん:今回の衣装は、結構ヘビーで重さがあるので、生地作りからこだわりました。1からパターンを白い生地にデジタルプリントして、色を載せて、それをキルティング。綿を詰めて、あと3Dプリントも載せてっていう何工程もして、やっと生地ができるという感じです。

――どのくらいの期間で制作しましたか?

馬場さん:デザインしたのは6月で、そこから完成が10月だったので、4ヶ月くらいかな。衣装は展示ブースにあるのでぜひ!

――デザインや衣装制作だけでなく、他のことも担当すると大変だったでしょう。

髙橋さん、馬場さん:そうですね。でも3年間やってるから、慣れつつあります(笑)。

――ちなみに、リアルの衣装をバーチャル空間で表現するために工夫したことはありますか?

髙橋さん:私は、ドレスがスカートの部分だけで150万ポリゴンあって、それを4000ポリゴン(ロブロックスの上限数)まで抑えなければならなかったので工夫しました。ポリゴン数を低くすると、全然形が変わっちゃうので、150万のままBlenderに持っていって、一個一個手作業で変えて、もう本当に苦労しました(笑)。

――この経験を通して、今後挑戦してみたいことや目標を教えてください。

髙橋さん、馬場さん:せっかく、バーチャル空間でのアバターに着せる服を作れるようになったので、今後も続けて伸ばしていきたいと思っています。目標は、3Dも使えるリアルクローズを作るデザイナーになりたいです。

――本日はありがとうございました!

フォトギャラリー

取材・撮影:真貝

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