ゲームと制作のための没入型プラットフォーム「Roblox(ロブロックス)」は、日本時間2024年11月15日、クリエーター向けに生成AIを活用した会話型AI「Assistant」の提供を開始しました。さらに、クリエーターが新しいリアルタイム翻訳APIにアクセスできるクローズドベータテストを開始し、画像およびサムネイルの翻訳技術を開発することも発表しました。これらの新しいAI技術の導入により、世界中のユーザーはロブロックスでサポートされている16言語のコンテンツがよりシームレスに利用できるようになります。
Assistant(アシスタント)について
2023年12月にベータ版としてリリースされた「Assistant」は、平易な言葉でプロンプトを入力するだけで、ロブロックス上でのコンテンツ制作を可能にするクリエーター向けの生成AI機能群です。この機能により、初心者でも手軽にコンテンツ制作を始められ、経験豊富なクリエーターはより表現豊かで魅力的なバーチャル空間を迅速に構築できるようにしてくれます。過去1年間で、ベータ版のAI機能を少なくとも1回利用したクリエーターは、コンテンツ公開数を推定31%増加させることに成功しています。
さらに、アシスタントのベータテストを終了し、今月中にRoblox Studioを通じてすべてのユーザーに提供を開始する予定です。リリースでは、新たに以下の3つの機能を追加しています。
- データモデル コンテキスト(DataModel Context):
プロンプトにおいて必要な指示の細かさを軽減するために、アシスタントで利用できるコンテキストの量を拡大しました。 - マルチスクリプトの挿入(Multi-Script Insertion):
アシスタントはクリエーターの指示の元、既存のスクリプトを動的に変更・修正するとともに、生成するスクリプトを繰り返し作成できます。 - クリエーターストアの挿入(Creator Store Insertion):
アシスタントは、ロブロックスのクリエーターストアから3Dモデルを取得して挿入することにより、クリエーターが風景に3Dモデルを配置するのを支援します。クリエーターストアは、ロブロックスコミュニティのメンバーが作成したアセット(モデル、画像、メッシュ、オーディオ、フォント、ビデオ、プラグインなど)を売買することができる場所です。
■ ロブロックス プロダクト シニア ディレクター グレッグ・ハートレル氏(コメント)
RobloxにおけるAIのビジョンは、クリエーターのワークフローを加速させ、日常的なタスクを自動化し、クリエイティビティに集中できるようにすることです。
これらの最新アップデートにより、クリエーターのワークフローが効率化され、翻訳を通じて世界中の新しいオーディエンスにリーチできるよう支援し、アイデアをより早く現実化できるようになります。AIツールの進歩により、誰でも、どこでも、何でも作れるようにするという目標に一歩近づきました。
リアルタイム翻訳APIについて
今回の発表で、一部のクリエーターは、ロブロックス上のバーチャル空間内でユーザーが作成したテキストを、ユーザーの環境設定に応じて現在サポートされている16言語のいずれかに翻訳するAPIを統合できるようになります。このAPIを有効にすると、たとえばユーザーが英語で「Grocery Store」と名付けた店舗名が、韓国語のユーザーには「식료품점」と自動で翻訳されます。
さらに、ロブロックスでリリース予定となっているAIベースの翻訳技術も発表しました。リアルタイム翻訳APIは、来年の前半にはすべてのクリエーターにリリースされる予定です。
- バーチャル空間のアイコンとサムネイルの自動翻訳:
各バーチャル空間のプレビューを表示し、どういったコンテンツか確認するためにユーザーが最初に目にする画像であるアイコンとサムネイル内のテキストを、元画像のスタイルや雰囲気を維持したまま自動的に翻訳します(2025年に実装予定)。 - バーチャル空間内画像の自動翻訳:
バーチャル空間内画像の中のテキストを、元画像のスタイルや雰囲気を維持したまま自動的に翻訳します(2025年に実装予定)。
■ ロブロックス プロダクト シニア ディレクター グレッグ・ハートレル氏(コメント)
リアルタイム翻訳技術のおかげで、物理的な世界では不可能なことをRoblox上で可能になりました。それは、ユーザーが世界中のコンテンツに共感し、関わることができるということです。
将来的には、Robloxでのユーザー体験やソーシャル体験のあらゆる部分が、ユーザーの母国語に完全に翻訳されることを想定しています。
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参考:公式発表資料