エンタメ業界が注目するRoblox、企業とファンを結ぶ新たなバーチャル体験

なぜ企業がRobloxに注目するのか？

世界中のZ世代やα世代で流行している「Roblox」は、毎日7700万人以上のデイリーアクティブユーザーがこのプラットフォームにアクセスし、国際的なクリエーター達が作り上げたエクスペリエンスを通じて交流を楽しんでいます。

このプラットフォームが企業から注目される理由は、テレビや新聞といった従来のメディアではリーチしにくい若い世代にアプローチできる点にあります。さらに、ロブロックスは単なるWEB上の広告表示を超え、自社ブランドやIP作品をユーザーに自然な形で楽しんでもらえる新しいプロモーションの場として活用されています。例えば、映画の先行上映会や人気キャラクターとのコラボレーション、さらにはバーチャル空間を活用したリアルタイムのイベントなど、物理的な制約を超えて世界中のファンとつながることが可能です。

こうした没入型のアプローチにより、ユーザーは1日当たり平均11分間をこれらの空間で過ごし、一部のエクスペリエンスでは数週間で数百万もの訪問数を記録しています。これまで話題となったエンタメ業界の活用事例は以下の通りです。

実世界とバーチャル空間のイベント体験

写真：[Beetlejuice] Escape the Afterlife（Roblox）

ワーナー・ブラザース・モーション・ピクチャーズ・グループと開発スタジオSawhorseは、Roblox上に『[Beetlejuice] Escape the Afterlife』（ビートルジュース 死後の世界からの脱出）を公開しました。ティム・バートン監督によるホラーコメディ映画「ビートルジュース」の続編「ビートルジュース ビートルジュース」の公開（日本では9月27日予定）に先駆けて、映画の世界を楽しむことができます。

バーチャル空間内には、チケット会社のFandangoが仮想チケット売り場を設置し、実世界の映画チケットを購入することが可能です。eコマース機能を導入して実世界の映画チケットを販売するのは、ロブロックス上で初の試みとなります。この取り組みは現在米国のみで実施されていますが、コンテンツの視聴者やチケット売上の拡大を目指し、将来的には全世界の展開も検討されています。

写真：ソニックスピードシミュレーター（Roblox）

Netflixによるアニメシリーズ「ソニックプライム」の世界初公開イベントは、セガのソニックが登場するバーチャル空間『ソニックスピードシミュレーター』で開催されました。第1話の先行上映は40分にわたり行われ、同時にUGCコンテンツの無料プレゼントも実施されました。本作は190カ国、30言語で公開され、子供向けアニメ・映画として大ヒットしました。

映画やアニメのIPを活用したプロモーション

写真：NOBU 〜信〜（Roblox）

吉本興業ホールディングス傘下のFANYは、野田クリスタル（マヂカルラブリー）監修のゲーム『NOBU 〜信〜』をリリースしました。本コンテンツは、3D空間で巨大化したノブ（千鳥）を倒すことが目的のマルチプレイアクションゲームです。FANYでは他にも、お笑いコンビのダイアンなどのバーチャル空間も発表しています。

往年の名作映画シリーズによるRobloxへの参入も非常に活発です。スティーブン・スピルバーグ監督による大ヒット映画「ジョーズ」や、1988年の公開以来カルト的な人気を誇る「チャイルド・プレイ」、そして日本でも有名な怪獣映画「ゴジラxコング 新たなる帝国」の参入が相次いで発表されました。さらに、Gamefamが開発した『バービードリームハウスタイクーン（バービー人形）』は、現在までに2億6000万回の訪問数を記録しており、長年のファンをRobloxに呼び込むことに大きく貢献しています。

写真：Netflix ネクストワールド（Roblox）

その他にも、Z世代やα世代に人気のアニメやゲームとコラボしたプロモーションが展開されています。今年4月には、Netflixが日本の大人気IP「ワンピース」も登場する複数のファン交流空間『Netflix ネクストワールド』を発表しました。また、バンダイナムコエンターテインメントアメリカと米国のメタバース向けゲーム開発スタジオSupersocialは、アーケードゲームの名作「パックマン」に基づいた新ゲーム『パックマンシミュレータ！』を初公開しました。

著名人やアーティストによるファンコミュニティ形成

著名人や有名アーティストによるファン交流の事例も増加しています。元祖お騒がせセレブの「パリス・ヒルトン」は、自身もバーチャル空間に登場してファンと交流したり、特別コンサートやVIPイベントを定期的に開催しています。韓国の9人組ガールズグループ「TWICE」は、『TWICEスクエア』の交流イベントに参加して訪問数8100万を超えるなど、ファンの心を掴んでいます。

また、伝説的ロックバンド「ザ・ローリング・ストーンズ」は、彼らの楽曲をテーマとした新しいワールドを『ビート・ギャラクシー』に登場させました。さらに、英国を代表するミュージシャン「エルトン・ジョン」は、最後の米国ツアーを記念した特別バーチャル公演を行いました。

エンタメ業界におけるRobloxの未来

Robloxは、エンターテインメント業界における新たなマーケティングとファンエンゲージメントの舞台として、その役割を今も拡大しています。実世界とバーチャル空間を融合させたイベント、自社IPのプロモーション、そしてファンコミュニティの形成といった活用事例は、企業にとってもファンにとっても価値のあるものです。今後のさらなる発展が期待されます。